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性病は、発症に至る原因によっていくつかの種類に分類できます。
主なものではウイルス・細菌・真菌・原虫などに分類でき、その種類の中でも性病ごとに病原体は異なります。

病原体によって正しい治療を行うことで病原体を死滅できるものと、死滅できないものがあります。
死滅できない病原体の性病においては、病原体の活動を抑制させて再発を防ぐ処置がとられます。
ウイルスによる性病に多く、中でも尖圭コンジローマは処置を行ってもウイルスを完全に除去できないため再発率が高くなります。

ここでは、もし尖圭コンジローマに感染した場合に、この先どのように対処すれば良いかを知るため、ウイルスの特徴や症状、感染経路、治療法などについて、基礎知識として把握しておきましょう。

尖圭コンジローマとは?感染経路は?

ウイルスが原因で発症する性病に分類される尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が粘膜や皮膚に付着することで引き起こされます。

ヒトパピローマウイルスというと子宮頸がんの原因として知られていますが、実はヒトパピローマウイルスには、大きく分けて「良性型」と「悪性型」の2種類があります。
子宮頸がんは、悪性型のHPVの感染が原因で引き起こされるもので、尖圭コンジローマは良性型のHPVによって引き起こされます。
HPVの種類は100以上も存在するといわれており、そのうち良性型はHPV6型と11型の2タイプがあります。

多種多様な性行為(セックス・アナルセックス・オーラルセックスなど)によって感染し、性器の粘膜や周辺の皮膚に良性型HPVが付着することで発症します。
また、性行為をしていなくても皮膚に傷があると、そこから良性型HPVが侵入して発症してしまう場合もあります。

性行為によって症状が出た場合、パートナーも感染している確率が高く、その確率は60%~70%ともいわれています。
そのため、たった一度の性行為であってもうつってしまう可能性が高いです。
しかしながら、潜伏期間が3週間~8ヶ月ほどと長期でしかも幅が広く、人によって自覚できる症状が出る場合もあれば、全く自覚がない場合もあるなど、個人差があります。

特に、数か月経過してから発症するケースでは、その間に特定のパートナー以外と複数回性行為をした場合には、どの相手からうつされたのかが分からなくなる可能性があります。
性行為をしたときにはどこで誰と行ったかをきちんと管理しておくことが大切です。

尖圭コンジローマの場合は男性・女性ともに発症します。
特に、妊娠中の女性が発症した場合、気になるのは母子感染です。
しかし、胎児がお腹の中にいる状態ではうつることはありません。
なぜなら、HPVは感染した粘膜や皮膚の表面に現れてくるためです。
従って、妊娠中でもHPVが子宮内に侵入することはありません。

出産とコンジローマ

ですが、出産時になると話は別です。
お腹の中では、外部から遮断されていたため感染のリスクはありませんでしたが、子宮から出てしまうと一気にリスクは高まります。
特に産道に尖圭コンジローマができていた場合には、胎児が患部を通って出てくることで尖圭コンジローマに感染する確率が高くなります。

もし、胎児が尖圭コンジローマがうつってしまった場合、再発性呼吸器乳頭腫症という病気を発症する可能性があります。
再発性呼吸器乳頭腫症とは、胎児の咽頭部分にイボができる笑気で、新生児の小さな喉にできてしまうと、たとえ数mmの大きさでも塞がってしまう危険性があり、上手く呼吸ができなくなってしまいます。
また、患部を上手く切除できたとしても再びイボができてしまう確率が高く、大変厄介な病気です。
そのため、もし妊娠中に尖圭コンジローマに感染した場合には、出産までに治療することが重要です。

尖圭コンジローマの症状は?

尖圭コンジローマは、男性・女性ともに性器や肛門の周辺に、約1mm~3mm程度のイボができるのが大きな特徴です。
そのイボは様々な形状をしています。
カリフラワーのようにボコボコしているものもあれば、ニワトリのトサカを思わせるものもあります。
色もピンク・白・赤茶色など人によって様々です。
表面はザラザラしていて固く、患部を触っても痛みやかゆみはほとんどありません。

イボの治療は外科的処置で行われますが、患部の中以外にもHPVが侵入している確率が高く、完全に除去することは困難です。
そのため、性行為をしていなくても再発してしまう可能性があり、その確率はHPVウイルスの除去後3ヶ月以内で約25%となっており、非常に高いと言えます。

男性の発症箇所

男性の発症箇所は、主に陰茎・亀頭・包皮の内部・陰嚢などの性器部分です。
また、肛門の内側やその周辺、尿道の入り口部分にもできことがあります。
人によっては患部に軽いかゆみや痛みが出る場合がありますが、ほとんどの場合自覚できる症状はありません。

女性の発症箇所

女性の発症箇所は、主に大陰唇・小陰唇・膣前庭・膣内・子宮頚部などで、他にも肛門やその周辺、尿道口などにもできることがあります。

口腔内のに感染するHPV

オーラルセックスによって口腔内にHPVがうつることもあります。
良性型であれば尖圭コンジローマになりますが、悪性型の場合は口腔がんの原因につながる可能性が高いとされています。
口腔内で発症した場合、口の中や舌、咽頭などにイボが現れますが、見た目だけでは口内炎とあまり差がありません。
そのため、一見すると口内炎と見間違えてしまうこともあります。

口腔内で発症した場合に、口内炎と見分ける1つの方法として、患部に痛みを感じるかどうかで見分けます。
口内炎の場合、患部に痛みを伴いますが、尖圭コンジローマの場合は痛みがほとんどありません。
また、口内炎が進行することで見分けることも可能です。
発症初期ではブツブツができて見分けにくいですが、進行していくとイボではなく、えぐれて凹みができます。

発症するまでのウイルスの潜伏期間が長いことも特徴の一つで、3週間~8ヶ月(平均2.8ヶ月)と個人差があります。
発症初期は、1mm~3mm程度のブツブツができる程度ですが、徐々にイボ状に形成されていき場合によっては5mm~10mm前後にまで大きくなってしまうこともあります。
このような状態にまで進行してしまうと、他の粘膜や皮膚と患部が接触する確率も高くなり、それによって再びイボが形成されてしまいます。
自覚症状はそれほどではありませんが、イボを取っても取っても再び形成されてしまうためとても厄介な性病です。

何度も再発を繰り返す人もいれば、自覚症状がないまま感染してから1年ほどで自然治癒する人もいます。
特に抵抗力や免疫力が高い人は、人間に備わっている治癒力によって治してしまうケースもあります。
このような人はイボが形成させないこともあります。

尖圭コンジローマの治療法は?

尖圭コンジローマの疑いがある場合、男性は泌尿器科・皮膚科・性病科などを受診し、女性は婦人科(または産婦人科)・皮膚科・性病科を受診します。
医療機関では、まず患部の視診をしてから、病変部分の細胞を採取して詳しく調べます。

治療法としては、現在は薬剤療法と外科療法の2種類が主流となっています。
このうち薬剤療法は、2007年12月から開始されるようになった新療法であり、それ以前は外科療法に頼っていました。
外科療法には、液体窒素による凍結療法、電気メスによる外科的切除、医療用レーザーによる蒸散治療などがあり、患者さんへの負担も比較的大きいものでした。
現在においても外科療法は採用されていますが、治療薬が販売されたことにより初期段階の症状であれば薬でも効果が得られるため、最初の選択肢として薬物療法が利用されています。

尖圭コンジローマの治療薬

薬物療法で利用される薬は「べセルナクリーム5%」で、やや黄色がかった白色の軟膏です。
主成分はイミキモドで、免疫力を高めて治療する薬で、良性型HPVの増殖を抑えて病変細胞を障害する作用があります。
イミキモドが免疫を活性化させることで、サイトカイン(免疫システム細胞から分泌されるタンパク質で、特定の標的細胞を持たない情報伝達物質)の産生を促進させ、ウイルスの増殖を抑制させます。
つまり、イミキモド自体がウイルスを死滅させるのではなく、患者が備えている感染防御システムで病変を消し去ります。

治療薬には、ベルセナクリームのほかにもポドフィリン、5FU軟膏、ブレオマイシン軟膏などがあります。
これらの薬は、病変組織を腐食させたり、がん細胞のDNA合成を阻害させる作用があるため、正常な皮膚に付着すると細胞に大きなダメージを与えます。
特に性器の皮膚は薄くデリケートであり、また血管や神経が密集している部分なため、皮膚炎や皮膚びらん、尖圭コンジローマ以外の潰瘍を作ってしまう可能性があります。

ブレオマイシン軟膏においては、抗生物質としての作用も持ち合わせているため、菌交代現象によって他の細菌や真菌が増えてしまい、他の性病を引き起こす可能性があります。

一方、べセルナクリームは免疫細胞を活性化させる働きがあり、正常な皮膚にダメージを与えることがないため、広く利用されています。

イボの除去が必要になることも

症状が進行してしまった場合には、べセルナクリームだけではウイルスを抑制させることが困難なため、病変部分を除去するために外科療法が施されます。
イボの大きさによって液体窒素による凍結療法を繰り返し行ったり、レーザーで切除したりします。

しかし、病変部分を切除したからと言ってウイルスを100%除去することは難しく、再び発症する可能性があります。
そのため、外科療法を行った後でも安心するのはまだ早く、半年以上は様子を見る必要があります。
半年以上経過し、再発しなければ治癒したと考えられます。

尖圭コンジローマは再発しやすい?

ウイルス性の性病は、他の病原体による性病と比較しても治癒させることが困難です。
尖圭コンジローマも再発率が高く、病変を消失、またはイボを切除できたとしても、その後3ヶ月以内に再び発症する確率は25%とされています。

自覚症状はほとんどなく、出たとしても軽度のかゆみや痛みとなるためそのまま放置しても良いと思ってしまいますが、最初のイボができた後は短期間で、次から次へと新しいイボを作りながらウイルスは増殖していきます。

ウイルスは、病変部分が他の正常な皮膚細胞と接触することで増えていきます。
そのため、自覚症状が無いからと性行為に及ぶと他の部位にウイルスを転移させることになり、どんどんと感染範囲を広げることになってしまいます。
さらに、60%~70%という高い確率で大切なパートナーにうつすことになります。

例えば、男性が最初に感染し、治療を行わずにパートナーと性行為をしてうつしてしまった場合、女性がその時妊娠をしていたとすると、出産までに治癒させないと胎児に感染させてしまう危険性があります。
新生児の組織は非常に小さいため、たとえイボが小さくても赤ちゃんにとっては気道を塞ぐほどの大きさになります。
自分がきちんと治療をしなかったことで、自分の大切な人とその赤ちゃんに辛い思いをさせる可能性があります。
そうならないためにも、感染が発覚したらパートナーとともに早期に医療機関を受診し、医師の判断を仰ぐことが大切です。

尖圭コンジローマは個人差がある性病でもあり、感染者の中には無症状のまま、1年ほど経過したころに自然と治癒してしまうこともあります。
このようなケースは、その人が持っている高い免疫力によってウイルスを消失させると考えられています。

自然治癒の判断は危険です

しかし、自然治癒したかどうかを自己判断することはリスクがあります。
なぜなら、ウイルスに感染していたとしても、必ずイボができるわけではないからです。
これがウイルスを拡散させてしまう要因にもなっているわけです。

感染から発症するまでにかかる潜伏期間にも個人差があり、1ヶ月後に発症するケースもあれば8ヶ月も後に発症するケースもあります。
そのため、性風俗店などのような、不特定多数の相手と性行為を行う場所を利用する人は、うつされた人物が誰なのかを明確に特定できない場合もあります。

ウイルスが増殖するほど治療が長期化するケースが多く、再発を繰り返す人もいます。
再発するということは、最初の治療でウイルスを全て死滅させることができなかったということであり、その後も根気よく治療を進めていくことになります。

治療後1年以上再発がなければ治癒したと考えられますが、免疫が抑制されてしまうエイズ患者や、治療薬として免疫抑制剤を服用している人においては、治癒させることが非常に困難となります。
そのため、繰り返し再発してしまうことになります。